参院選での各党公約私見(児童・母子福祉領域限定)

まぁ,一応公務員の端くれなオラだが,今回の参院選についてはあまり関心がない.おおよその論点は「年金問題」「北朝鮮問題」「憲法改正」とか設定されているように見えるが,参院選の結果に関わらず与党の思惑どおり粛々とコトが運ばれていきそうだし,マスコミの事前調査結果のように民主党に風が吹いたとしても(与野党伯仲までも行かないような気がするが)解散総選挙の可能性は極めて低いだろうし.

そうは言ってもお仕事と政治の動向は密接不可分で,事前にある程度の「風見」は必要かなと思い,ボキの主担当業務である児童・母子(「父子」が弱いのがまず問題だとも思うが)福祉に限って公約を眺めてみる.

で,参照先は「JAN JAN(http://www.janjan.jp/index.php)」内の「選挙が面白くなる!*1参院選全情報マニフェスト比較(9)こども(http://www.janjan.jp/sanin/0406/0406306254/1.php)」である.

「子育てと女性の就業支援」として、「少子化社会対策大綱」に定めた「待機児童ゼロ作戦」の実施、児童手当の充実、放課後児童クラブの整備、育児休業期間の延長など男女共同子育て環境支援など

まぁ,これらの政策は少子化対策にウェイトを置いた一連の次世代育成支援対策で,たぶんこの方向性で行くと考えるのが一番妥当なんだろう.にしてもなんだよ,「児童手当の充実」って?あのクソみたいな「年金保険料未納でした」「私もです」の自己批判応酬でバカげた時間を費やし,2月に法案提出されてたのに成立が6月という改正児童手当法*2がつい2週間前に施行されたばかりだぜ?

日本の児童福祉って,極言するとこの児童手当しかないのだが,この制度は抜本的な改正なしにちょこちょこ支給対象児童の年齢を上げてるだけ(今回の改正も先の総選挙で公明党が掲げた公約)で,支給額とか受給者数の実質的拡大*3(所得制限限度額があって,これを超える所得があると不支給となる)とかをまるでいじらない.ちまちま改正が事務量の煩雑化を促進しているだけ.

しかも,月額5,000円(第3子以降は10,000円).わたしは子を持つ親ではないが,子どもの養育費ってそんな雀の涙程度で済むのかね?「充実」の中身の再考を求めたい.

「子どもが健やかに育つ社会」として▽1人ひとりに目が行き届き、親の不安が解消される教育を実現します▽幼保一元化やNPO支援で保育を拡充し、学童保育も2万カ所に増やします▽次世代育成支援のための子ども手当(児童手当)を拡充します▽無利子奨学金の貸与額を50%引き上げます▽児童虐待防止へ児童福祉司を倍増します▽子どもたちを有害情報から守ります▽「子ども家庭省」の設置に着手します

こちらの方でも児童手当の拡充が謳われているが,これ,自民党の公約も含めてそれぞれ後でフォローすることとする.

児童福祉のハード面を支える幼稚園・保育所整備*4については,都市部においては待機児童数がいまだに相当数あってやらざるを得ないのだろうし,それは結構.

奨学金については,別に国というか独立行政法人日本学生支援機構*5http://www.jasso.go.jp/)のそれを充実させるよりも,エスタブリッシュメント奨学金制度をバンバン作らせればいいじゃん(そんなに日本をアメリカにしたいんなら)とも思ったが,それは政治とは関係ないか.

「子ども家庭省」の設置?見せしめに社会保険庁をつぶして,現・厚生労働省雇用均等・児童家庭局を一気に省に昇格させちゃうつーことなのかな?そこまで拡大させる必要はないと思う.

一番ひっかかるのは「子どもたちを有害情報から守」る,だ.

有害情報については「有害情報から子どもたちを保護する法律」を制定。情報化社会に生きる子どもたちが情報のもつ意味を正しく理解できるようメディアリテラシー教育を進める、としている。

法案がどのようなものかよう分からんが,自称良識的リベラルっぽい発想だよなぁ.「見せない」「遠ざける」だけじゃ,単にアンダーグラウンド化するだけでダメなのは分かるんだよね?メディア・リテラシーの涵養に着目したようだけど.

以下,ひとりごと.

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子どもの嗅覚をバカにすんな!どんなに隠しても,オヤジ,あんたの裏ビデオは見つけられるんだぜ!
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まぁ,参院選敗北後は破棄されるマニフェストとは言え,自民党(官僚ペースの政策)よりは「自分で考えた」的対抗意識が見受けられるという評価はできるか.

共産党は記載なし。

JCP的には「今回は割愛しました」ってこと?

「子供は未来の力」として▽育児休業期間の延長、所得保障水準の60%への引き上げ▽出産費用の公的保障▽「パパ産休」制度や「パパ・クォータ制」(父親への育児休暇割当制度)の導入▽延長保育や夜間保育、休日保育の充実▽18歳未満の児童を対象に全額国庫負担の「子ども手当」の創設▽子どものためのシェルター制度▽家族の看護休暇制度など。

ごつい.どかーんと福祉国家,つー感じ.どれも,実現困難でしょうが,やるならここまでやるべきだよ,次世代育成支援.

08年度を目標に「育児保険制度」(仮称)の創設、健康保険8割給付の対象年齢を3歳から6歳に引き上げ、父親が育児休業を必ず取得する「父親割り当て制」(パパ・クオータ)の導入など2003政権公約に加えて、「新たな子育て支援や障害者支援も」「子どもの安全を守ります」の2項目を追加した。「新たな子育て支援や障害者支援も」では▽新エンゼルプランに代わる「次世代育成プラン」を策定▽「情緒障害児短期治療施設」「自立援助ホーム」を全都道府県に整備▽「発達障害者支援法」の制定▽発達障害支援センターを全都道府県に整備など

公明党の「おかげで」というか公明党の「せいで」毎度福祉部門は迷走するのだが,「育児保険」ってなによ?

とても,「ヘンな時間に目が覚めちゃったから書きました」で済まなくなってきているので,継続.

*1:田舎にいるとこないに煽らんでもみんな選挙「だけ」面白がってるぜ…

*2:支給の対象となる児童の年齢を「小学校に上がるまで」から「小学3年生の間まで」に拡大された.

*3:「特例給付」というサラリーマンで少し年収の高めの人にも支給する手当の創設はあったが

*4:20040531に「外国の研究者は『日本の幼稚園・保育所の整備状況はすばらしい.でもそれだけですね』という反応を一様に示す」との厚生労働省の課長補佐の講演を聴いた

*5:かつての日本育英会が母体