スロータウン構想…

庁舎内で企画課から「スロータウンの理念をまちづくりに」なる文書が発文される.その文書から.

戦後の日本は、欧米諸国に追いつき追い越すことを目標に、猛烈なスピードで突き進んできました。その結果、世界のモデルとなる戦後復興と経済大国を成しとげました。そこでの価値は、スピードや競争、効率・利便性、大量生産・大量消費などに重きを置いたものでした。社会が成熟してきた今、自然のリズムに合わせ、地域の個性や特性を生かした手間隙をおしまず「安全や安心」「本物」を追求した生き方が再認識されてきています。前者のことをスピード社会といい、後者をスロー社会といいます。この2つの社会の生き方を互いに認め合い、尊重し合い、良い意味競い合いながら人々の幸せや地域の発展を目指そうとする市町村をスロータウンと呼びます。今日、静かなブームとなっているスローフードスローライフといった食や生き方とも共通するものです。

で,うちのまちもスロータウン宣言することになったらしい.要するに,三井物産戦略研究所(http://mitsui.mgssi.com/)が仕掛け人となって「スロータウン連盟」(http://www.slowtown.jp/)という団体を結成されていて,それにうちのまちも噛んでみる,ということのよう.上記文書から引用.

スロータウン連盟は、スロータウンの考え方にそってまちづくりを進めようとする自治体などが一堂に会した組織です。北海道では、本町をはじめ由仁町東藻琴村ニセコ町が加盟しています。全国では58団体が加入し、森林資源で多くの観光客が訪れる宮崎県綾町、長野県栄村など個性的なまちづくりを進めている自治体が加盟しています。

例示されている道内の町村で言えば福祉・住民参加といった分野で有名だし,綾町といえば照葉樹林,栄村といえば在宅介護といったようにそれぞれまちのTIが確立されているところばかり.そこにうちのまちが参入していくということだが何がウリなのか.「これから考えます」だと,なんか椎名桜子を髣髴とさせるイタさだよなぁ.

窓口業務が主のボキの課などは,町長および企画課などの「大本営」の考えていることはさっぱし分からん.というかだ,大本営は基本理念ばっかぶち上げるが,その理念を政策レベルに落とし込んだときに何ができるか,何をやるかをまるで指示しないのだ.

町長は社会教育畑出身で,自己研鑽には熱心.さらにそうして広めた自らの見聞を職員に講演するのがお好きなよう.で,再三このスロータウンとやらも職員に「講義」してくれるのだが,理念の崇高さやモデルの先進性を力説してくれたところで,それに沿った形でじゃあ原課にアンタは何をさせたいの?という疑問は払拭できない.

そこは,原課がその理念を噛み砕いて,スロータウンと呼ぶにふさわしい循環型福祉政策の立案をしていくんだろ,と言われればそりゃそうなんだが,こちらにはこちらの言い分もある.新しいモデルを輸入しありがたがる前に,今,原課で取り組んでいる事業への理解を示せ,ということだ.

ボキの次世代育成支援対策だって,町長はほとんど決裁しない(助役代決)んですぜ.で,伺い読めばそれで済むところをわざわざ時間をセットしてご説明にあがったりもする.たまたままちのサッカー少年団が全道大会出場が決まったら,補正して天然芝のサッカー場を整備し,それを一般の子どもにも使わせたらどうか,な〜んていう構想を突然ぶち上げ,「子どものための環境整備,しました」というアリバイにしてしまおうとする.こちらとしては,児童館すらないまちの子ども関連インフラの脆弱さをなんとか低予算かつ住民協働で充実させたいと考えているのに,あたかもポケットマネー感覚(普段は「金ない,ない」ばっか口にしてるが)でピンポイントの事業執行をやろうとする.

整備できたところで,それが本当にサッカー少年団以外の子が自由に利用できる担保は何かあるのかよ?整備したところで,継続的にサッカー人口を増やして「サッカーでまちづくり」とか考えてるのか?僕は,サッカーする子どもたちも含めてすべての子どもたちが自由に遊べる場の提供が必要だと考えるし,それが行政としての仕事だと思うのだが,町長構想は事業効果等を過小に見積もってないか.邪推だが,サッカー少年団関係者の票を固めて来年の選挙に臨む魂胆?

ボキも採用後5年間は,「地方自治土曜講座」などへ自費で参加し,それなりに勉強したつもり.ただ,先進地の話を聞いて「同じことをうちのまちでどう応用して実践するか」ということの難しさにいつも落ち込んでいた.組織の意識が低かったり,財源を捻出できなかったり,担い手となるべき人材がいない/育成してきていなかったり,いろいろ困難がある.輸入思想を手放しで称揚するだけじゃダメなんだよね.理論→実証→実践のサイクルはお勉強以外でも同じだろ.

まちのイメージづくりにばかり金かけてたって,住民福祉は向上しないよとも思う.

(メモっぽい文章)