公務員の専門性

昨日の昼から,札幌学院大学江別市)での公開講座を聴きに職場の人7人と札幌入り.職員研修の一環.16:00ごろ帰庁.

市民参加の自治体経営を進めている埼玉県志木市の市長の講演.いつもこの手の研修に行くたびに,自ら戒めていること.「先進地のやり方が自分のところでできるとは限らない」当たり前なんだが,周りにはただ感化されて帰って来て「いや,これからの自治体は…」とかやり始める人,多いんだよね.

志木市では,市職員を20年かけて560人から50人にまで削減する計画で,代わりに今まで職員が行っていた業務を市民またはNPOに委託する「市民パートナー制度」を実施している.時給770円で窓口業務等をやってもらっているそうだ.また,「市民委員会」制度というのも導入し,事業の企画・検討等に市民が参加するという方法をとっている.

聞く人によっては,無条件に「素晴らしい」と評価しそうだが,ボキは削られる立場ゆえ「要するにコストカットとその埋め合わせの徹底化かぁ…」と最初は思っていた.しかし,事前の下調べで「あ,ここまでやるんですか」と驚く記述を見つけて,これは単なる合理化ではないと認識を改めました.

それは,地方公務員法の兼業禁止規定の改正を構造改革特区提案している,ということ.公務員を,兼業を認めない職員と最低週1日出勤すれば他の職業と兼業してもよい職員とに分けるよう,規定を変えよ,という提案なのだ.公務員の働き方を変えよ,ていう提言なんて現場サイドからほとんど聞いたことなかったから,これはすごいと思いましたね.しかも,不肖わたくしも「兼業禁止規定を撤廃せよ」と前々から近親者には口にしてた輩だったので,マジでこれは驚いた.平成15年度の国の回答は「不可」ということだったようだが,今年度も再提案している模様.ここまで徹底してると,わらしとしてもぜしがんばってほしいと思う.

結局,この市長は,今の行政が担っている仕事の多くはあえて「公務員」がしなくてもいいことだ,ということを内外にアピールしているのと同じ.そのことについては,ボキも同感.例えばボキの業務で行くと,児童手当の事務は,請求者の所得を確認して認定/却下の決定行為だけ職員がやるべきことで,それ以外の申請受付等はあらかじめ制度や手続きフローを覚えた職員以外の人がやったっていいことなのだ.個人情報を扱う部分のみ守秘義務のかけられた者が担当し,それ以外はそれこそ件の市の行政パートナーがやっていただければぐっとコストは下がるし,こちらとしてもめんどくさい窓口業務をしないでバンバンザイだ.

この市長は「公務員がやるべき仕事は,個人情報を扱う仕事と政策立案,総合調整だけやればいい」というようなことを言っていた.それを専門にしなさいと.その専門性に対しては,地域の民間給与の水準など関係なしに給与を支払いますよ,「役人の給料が高い」なんて批判が出ても「高度な専門性に対する給与なんだからゴタゴタ言うな」と一蹴するよ,というニュアンスの話もしていた.これは,ありがたいことでもあり,高度な知識やタフなコーディネート能力を身につけとかんと公務員やってけまへんよ,という脅しでもある.

こういうトコでなら働きたいです〜.

週末には,ウィークリー講座と称して職員に管理職となるための教育を行っているという.内容はわからないのでおいとくが,こういうOJTにきっちり労力を費やす職場はいいよなぁ.うちみたいに「よその人のありがたいお話を聞いて見聞を深める」=「研修」と考えているバカどもは猛省せよ.

ここ最近,ずっと今の職場を「人を育てない職場だ」と主に上司に訴えつづけてるのだが,結局こういうすぐにとっかかれそうなことを聞いても,周りは「おたくはすごいですねぇ(感嘆)」で終わりなんだろうなぁ.

ということで,ボキは自らの専門性を高めるべく,これからもテキトーに自己研鑽します.チホー公務員に民間への転職など無理なんだから(だって民間じゃ使い者にならないだろうし),もっと法律が読めて,もっと数字に強くなって,資格もとってソーシャルワーカーとしても生き残れるよう,やりまつよ.