今日読んだ本

古今亭志ん生,2005『びんぼう自慢』ちくま文庫

読了.
『なめくじ艦隊』と重なるところが多いが,こちらは入門期の頃の話が詳しい.
内容を一言で言えば「破天荒」そのものなんだが,そう言い切ったら身も蓋もないし,なんの味わいもない.明治・大正・昭和初期までは当たり前にあった貧・病・争に志ん生を代表とする当時の人々がどう身を処していたか,そんな心性史として読めて非常に面白かった.もちろん,志ん生の自伝なのだから,志ん生という特異な存在の生活・価値観がベースになってはいるのだが,かつてはそれがありふれた存在だったと漏れには読めた.
どれだけ悲惨な状況もどっかで「まぁしゃあないか」と達観する語り(「貧乏は味わうもんですな」に代表される)に,「江戸っ子とはかくあるものか」と感じ,なにか憧れを抱かせる.*1

*1:2月から刊行予定の『志ん生の噺』は確実に買う.