軽度発達障害と特別支援教育

主に小学校の先生を対象とした講演会を聴く.講師は児童精神科医の大学教授.
軽度発達障害とは,広汎性発達障害自閉症など)や学習障害,注意欠陥他動性障害などのこと.これまでの障害児教育は,いわゆる「特殊教育」として障害の内容別にそれぞれ異なる学校で教育を受けていた(盲学校/ろう学校/…という具合に)のだが,障害区分に関わらず,障害を持つ子それぞれに個別の支援を行う教育というのが特別支援教育で,徐々に従来の特殊教育から移行をはじめているらしい(教育関係者ではないので,自分で読んだ・調べた範囲での理解では).
漏れは一応社会学の出の人なので「カテゴリーを創るから障害が生まれる」,そこまで極端ではなくても境界付近にいる人も内部に組み込まれてしまう可能性は否定できないのでは,という考えをいつも捨て去ることができないのだけど,この点に関して講師は「私たちがしたいことは診断ではない」と冒頭で釘を刺した.もちろん,障害の発生要因として社会学的な観点からの検討も必要かと思うが…という留保付きで.
そうした障害を持つ子の生きにくさをできる限り取り除くことが全てであって,それ以上でもそれ以下でもない,という立ち位置だった.臨床の場にいない人間としてはピンと来ないところもあるが,ある程度その考えは理解できたように思う.
この領域でも,調整役=コーディネーターが必要とされており,世の中だんだんネットワーク的つながりの必要性があらゆるところで認識されてきているのかなぁと思う.調整役という「専門家」ないし「専門技術」が必要とされている点も児童虐待に同じ.社会福祉士がそれに完全適合する資格・職種かどうかはともかく,飛び込んで行ける場の一つではあるだろう.(20050125記す)