自主研修グループ立ち上げの機運に水を注す

たまたま近く首長選挙があり,現首長の今期の政策評価・人事評価が組合を中心になされている.資料として渡された選挙公約の中に「職員の自主研究グループの奨励」というのを発見し,「へぇ,そんなこと言ってたんだ」と少々驚いた.
教育行政畑の人なので,職員の研修充実には並々ならぬ意欲,というか「人間,生涯学習!」みたいな信念を持っている.まぁ「死ぬまで勉強だ」という考えには個人的には共感できる部分もあるが,職員の自主研修ということになると少々事情が変わってくる.まさか「詩吟」とか「短歌」とかを奨めるわけではないだろう(断っておくが,漏れは「詩吟」「短歌」を低くみているわけではない).自治体職員のための「実学」を志向しているはず.
結果として任期中,職員の側からの自主研修グループ活動はほぼ無いに等しかったことは漏れの“公約再発見”でも明らか.もっとも,漏れが寡聞にして知らないということもありうるが.
そんな折,若手職員のひとりから「自主研修グループに入ってもらえませんか?」との勧誘.
漏れ「どんなことやんの?」
若手「年2回くらい,ニセコ町とかに視察に行って,まちづくりを学ぶんです」
漏れ「他に誰に声かけてんの?」
若手(中堅クラスと若手2,3名の名前が挙がる)
漏れ「メンバーを広く募るなら,サイボウズ掲示板ででもお誘いかけたら?」
若手「いや,そうなんですけど,あんまりたくさん人が集まりすぎても,夜の懇親会とか盛り上がらないようなマジメなヤツが入ってくるとつまらないじゃないですか」(もうこのあたりから趣旨が違ってきている)
10人以上のグループについては,職員互助会から経費の一部助成(そこかい!)があり「名前だけでも借りたい」ということで「考えておく」と伝えた.
近頃職場では若手を中心に研修への意欲が高まっているみたい.「何を研修したいか」で「パソコン」が挙がるような低レベルだけれども(今や就職前に身につけて当然のスキル,と見るべきだが).
「自主研究グループの奨励」を見るや「先進市町村の視察」….漏れはなんだかんだ言っても結果として出不精になっている人間なので,この手の視察研修に批判めいたことを口にするとすぐ「百聞は一見に如かず」などと切り返されがちなのだが,怯まず言う.
先進地視察によって得られる事物への知見や政策の応用可能性はたしかにある.しかし,そうしたものが即,自分の住むまちで実行可能かは大疑問.人・インフラ・資金…あらゆる資源配分・初期条件に相違があるからだ.「先進地はなぜ『先進地』となったのか」に思い至らないとヘン.
では,「先進地の『発想』」といった高次の応用可能性のある知見の獲得はどうか.これは,年1,2回程度の視察で得られるかはいわずもがなである.
結局,研修はどこかで「〜学・論を勉強する」,そのために必要な文献にあたる・討議するという地味なトレーニングを要する,ということに気付いてほしい.ある程度知識を詰め込んでおいて旅に出ればものの見え方も違うはず.視察が先にあるわけではないし,目的ではない.
大体さぁ「百聞は一見に如かず」に代表される座学否定・経験至上主義の人ってさぁ(ry*1