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nonfiction:「麻原法廷漫画:地下鉄サリン事件から10年」(CX系)

もう,10年か.
この時,僕は学生で,この日,たしか自分が初めて仕切りの大学の部活のスプコンだったかその練習だったような気がする.
「神谷町で○○人,小伝馬町で○○人が重体です.」NHKの末田アナの声が聴こえる.総煉瓦づくりの薄暗い地下トンネルのようなものが見える.まるで,古い炭坑の入り口のような.「聞いたことない地名だな」と気付くと,昨晩から付けっぱなしだったテレビには,白昼何台もの救急車と道路にうずくまり毛布をかけられた人々が写し出されていた.部活のメンバーが集まっている会場にすぐに電話し「うちの親父がちょっと家でケガしたって電話入って,ちょっとバタバタして遅刻してゴメン」という詫びを入れたような気がする.
事件後,数日「犯行グループは誰だ?」という話で持ち切りだったが,僕はさしたる根拠もなく「やったのはたぶんオウムだろう.松本の事件もオウムだろう」と憶断していた.果たして,それから数日後,オウムに司直の手が伸びることとなる.上九一色村の教団施設への強制捜査の朝は,僕の学生時代の住まいの上を何機かの警察ヘリが飛んでいったことも覚えている.
この番組の企画者である青沼陽一郎が最後に「オウム真理教を僕は「マンガ」だと思った」とナレーションを入れているが,僕も同じように当時感じていたし,今もその感覚に変化はない.それこそ,たしか大学の部活の広報紙かなにかで「キッチュサイバーパンク」と揶揄したことがあったように思う.
オウム真理教の活動自体は「マンガだ」とは言えても,そのマンガの世界が無色無臭のサリンという毒ガス(この凶器こそメタフォリカルだと思う)を通じて多数の人を殺傷したという事実まで「マンガ」とは言えない.その思いは青沼氏も同様だろう.
余談だが,
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050320k0000e040028000c.html

一方、教団の荒木浩広報部長も各駅を訪れ献花した。霞ケ関駅では約3分間黙とう後、「被害者の方々に伝わる言葉をずっと探してきたが、見つからないまま今日ここに来た」とうつむきがちに話した。
毎日新聞 2005年3月20日 14時30分

『A』『A2』を観ても,このコメントにしても「彼は,なぜそこまでこの教団を背負わなきゃならないんだ?」という感覚を覚える一方で「これが彼なりの償いであり,彼はあえて教団に残留して教団の罪を全て引き受けようとしているのかもしれない」とも感じる.勝手だがすごく日本人的な組織に殉じる生き方に見えて,彼については同情というか憐れみを禁じ得ない.