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『昭和歌謡大全集』

"KILL BILL"より先に観たが,期待が見事に裏切られるつまらなさ.

作品名:昭和歌謡大全集
カテゴリ:ドラマ
公式サイト:<公式サイトへのリンク>
製作年:2002
製作国:日本
時間:112分
配給:シネカノン
公開日:2003-11-08〜2004-01-09
スタッフ・キャスト:
監督:篠原哲雄
出演:松田龍平池内博之安藤政信斉藤陽一郎村田充樋口可南子/岸本加世子/森尾由美細川ふみえ鈴木砂羽内田春菊市川実和子古田新太原田芳雄

平凡な毎日は、歌謡曲の刺激で変わる…。村上龍のベストセラーを鮮烈のスクリーン化!

東京・調布市。イシハラ、ノブエ、ヤノ、スギヤマ、カトウ、スギオカら、少年6人は、定期的にカラオケ・パーティを開く仲間。ある日、神経症のスギオカが、買い物帰りの主婦を殺してしまう。その主婦の名はヤナギモトミドリで、メンバー全員がミドリという名の親睦会「ミドリ会」に入っていた。イワタ、ヘンミ、スズキ、タケウチ、トミヤマら、ミドリ会のメンバーは、これは「おばさん」を馬鹿にした犯行だと、犯人を見つけ出し復讐することを誓う。こうして、血で血を洗う壮絶な戦いが始まった。

「恋の季節」「骨まで愛して」「また逢う日まで」…。リアルタイムで聞いたことのない人でも、なぜか懐かしさを覚えるような昭和歌謡の数々。気だるくて甘酸っぱい曲が流れるなかで、突如、少年たちとおばさんたちの殺し合いが始まり、回りだした歯車のように着々と、復讐合戦が展開していく。

原作は、ベストセラー作家・村上龍の同名小説。柔らかな人間ドラマに定評のある篠原哲雄監督が、これまでと違った鋭さで演出していく。年代的には結びつかない歌謡曲を嬉々として歌う、松田龍平池内博之らの若者グループ、分別と理性を持ち合わせながら大胆な復讐へ乗り出していく、樋口可南子、岸本加世子らのおばさんグループ。どちらも現実から遠くはなれた狂気の沙汰を、飄々とした明るさで演じている。歌謡曲は12人の心の中を代弁し、昭和から平成へ、ますます乾いていく社会の中に、救いのファンタジーを生み出してくれる。

映画生活」より(http://www.eigaseikatu.com/title/s-3951

ストーリーから言って,これもB級路線でしかありえないはずなのに,なんか近年の日本映画の平均的寸法で撮ってしまっている.
キャストもボーイズからいくと,安藤政信松田龍平以外は十把一からげ的な扱い.安藤だって最初のエピソードしか出ていないのだから,松田によるところが大きいのだが,目立った演技もなし.そもそも,安藤の役柄と松田の芝居がかぶっていて,どちらか一人でよかったように思う.
女優陣は,けっこうゴージャス.岸本加世子と樋口可南子鈴木砂羽はいい演技してる(特に鈴木は,その存在が持つエロフェロモンから期待どおりの絡みも見せ納得)のだが,細川ふみえ森尾由美は….どちらかというと森尾の芝居はひどかった.そして,森尾も鈴木も「おばさん」としてカテゴライズされてしまうことへの哀しみも個人的に感じた.
脇で出てくる俳優陣の方がよっぽど魅力的で,市川実和子(作中に「地縛霊みたいな女の子」との科白あり.ワロタ)の霊能者ぶりと抗争コーディネイトぶり(このコがいなければ,後半の殺しはない),原田芳雄のヘイト・おばさん・金物屋,古田新太・武器横流し自衛官,その他ちょい役で出てた千石規子の方が印象に強かった.
歌は,松田の「恋の季節」は最悪だった….
「抗争」って,基本的にエスカレートしていくものなのに,感情的なエスカレーションが全然感じられなかった.ナイフ→手製の槍→トカレフ→ロケットランチャー→FAE(Fuel Air Explosive:燃料気化爆弾)とどんどん火薬量が大きくなっていくのに,松田の虚ろかつフラットな仕切りぶり,樋口の感情の起伏の感じられない仕切りぶり.そもそも,樋口にあんまり「おばさん」のたたずまいが感じられないのだ.
もっとも,こういう静かな感情の中での大量破壊的な復讐が原作の描くところだったのかもしれない.しかし,全く高揚のない復讐劇というのもありえない,と思うのだが.
最後まで観れただけ,まぁマシな方なのか.