武藤『旧制中学入試問題集』
拾い読みしてて気づいたのは,歴史でやたらと林子平がでてくること.
「あの人が受けた入試問題」という人物エピソードの章に,今の頬肉のたるんだ首相・安倍晋三の祖父である岸信介のページがあるのだが,そこに収録されていた,岸が受験した第一高等学校の歴史の問題でその意味が分かったような気がする.
- (問)左記(ママ)の事項に就きて知る所を記せ…(イ)林子平((ロ)以下略)
- (答案)林子平=元江戸の人なり,仙台に住し夙に大志あり,四方に周遊し海外の事情に通じて海国兵談三国通覧を著し海防の必要を説き幕府の忌憚に触れて寛政四年禁錮せらる,其六無斎の歌は世に愛称(ママ)せらる,徳川時代外寇を憂えたるは子平を以て始めとす.
武藤[2007:306-307]
「六無斎の歌」とは,知ってる人は知っている,
親もなく妻なく子なく版木なし金もなけれど死にたくもなし
というもの.あたしは『家政婦は見た!」シリーズを見てて知りましたが….
明治維新政府の立場にあっては,海防の必要性を状況分析から訴えた林子平は功労者という位置づけなのだろうと思われる.だから,やたらと試験に出されたのだろう.
他にも,忠義の人と言うことで楠木正行もよく試験問題として出されていたようだ.
- 作者: 武藤康史
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/05
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (13件) を見る