『県庁の星』

 会社の後輩の家で飲みながら,地上波初放送の本作を観る.
 原作を読んでいないが,最初からつっこみどころ満載.

どうして石坂浩二演ずる県議会議長はあんなに知事と密着,あるいは職員人事に関わるのか?
ふつう,首長と議会は互いに独立してて,あんなに知事室に議長が居座ったり,議長があからさまに人事へ介入したりはしないんではないんでしょうか?
なんで福祉施設整備が産業振興部局の音頭でやってんの?
あれでは福祉部局の存在意義がないだろう.主人公の織田裕二が最後に「生活福祉部」職員として出世の本流から外れ(世間の福祉部局職員はそう見られてると思ったら怒る人もいるぞ…)つつ産業振興部局の「養護老人複合施設」だか,とにかく意味不明なケアリゾート構想の見直しを議会で求めるのだが,キャリアとはいえ議会の場で一係長がそういう動議を出せるわけがないんでは?あと,プレゼンにCGまで駆使することはないだろう.せめて,パワポで作ったポンチ絵(あぁ,こういう表現は役人っぽい(←バカ))でご説明程度だろう.
県庁が整然としすぎ
エスプレッソマシンがあったり(そういう備品購入に予算がつくわけないだろう!),エレベーターが一基しかなかったり,議場において議員や部局長職の席以上に一般職員の席があったり,やたら整然としたオフィスだったり…

 その他,『公文書作成マニュアル』と称したファイルを開いて部下に「『検討します』と表現したら,その案件は放置しておくものだ,当たり前だろ」的な指導がされていたりもしていた.世間は役人の世界をそういう風に見ている,という発想をベースにした脚本だろうがあまりに現実とかけ離れすぎていて,結局,世間の偏見を助長する,まぁ予測できた表現になっていた.
 世間がこの表現を「娯楽作品ですから,まぁまぁ…」と了解できてるならいいのだが.あと,この映画でカリカチュアライズされている県庁キャリア職員とは,なんとなく広告代理店とか放送等のギョーカイにいそうな人というのが妥当なところのようにも思えた.
 それにしても織田裕二は若い.