読了:鹿島+井上『ぼくたち,Hを勉強しています』

 約3年前にも単行本を読んで,感想をあげている(id:h2so4:20040507)のだが,今回,朝日文庫版を再読.

ぼくたち、Hを勉強しています (朝日文庫)

ぼくたち、Hを勉強しています (朝日文庫)

 前回の「かんそうぶん」は意味不明な内容の文章になっているところがけっこうあったが,読後の感想自体は今回もそう変わらない.もう一度読んでみて引っかかった部分も,たとえば風俗取締りと大衆運動との相関関係については今回もメモを走らせていて,新たな発見があったという感じではない.
 ただ,巻末の室井佑月氏による解説は,「猥談(鹿島氏らによれば「性談」)なのに,セックスそのものについての言及がなくて私たちのしてるのとは全然違う」(大意)については大いにうなずけた.
 本編の対談内容は,著者たちの男女の出会いに関する話以外ほとんどが性的嗜好フェティシズムに関する薀蓄の応酬で,それはそれでおもしろいのだけれど,これを「性談」と呼んで「性談のできるいっぱしの男になりたい」(大意)のように気炎を吐かれてもなぁ,という思いも抱いた.まぁ,アダム徳永氏が書くような本とか,鷹さんの『エリートセックス』のような本を書いて欲しいとは言わないけれども.
エリートセックス (幻冬舎新書)

エリートセックス (幻冬舎新書)

 余談だが,上記の鷹さん本は,新書とはいえ買うのに相当な気恥ずかしさがあったが,書いてある内容は至ってオーソドックスで,結局「性交に王道なし,常に相手の望むところを与えよ」(相当大雑把な要約)という思想に集約されるというものであった.
 本書では,後半参加している原武史氏が,鹿島・井上両氏に「痴漢の社会史を」と望まれているのだが,その後『鉄道ひとつばなし』『鉄道ひとつばなし2』で関連するエッセイを見たものの,まとまった論考は出ていないのではないかと思うので,いつか書いてもらいたいと思う.ちなみに『鉄道〜』『鉄道〜2』は,あたしはいわゆる「てっちゃん」ではないのだが,読みやすく面白いのでおすすめ.そういえば氏の『滝山コミューン一九七四』も読みかけだった….
鉄道ひとつばなし (講談社現代新書)

鉄道ひとつばなし (講談社現代新書)

鉄道ひとつばなし 2 (講談社現代新書)

鉄道ひとつばなし 2 (講談社現代新書)

滝山コミューン一九七四

滝山コミューン一九七四