読了:勝間和代『効率が10倍アップする新・知的生産術』

 最近分かったことだが,本書のような自己啓発書に対して「なんちゃって速読」ができるようになった.それくらい,このジャンルを読み過ぎなんだろうけど….
 たまたま「情熱大陸」でフィーチャーされていたのを観て(http://www.mbs.jp/jounetsu/2008/05_11.shtml)「あ,この人の本買ってたわ」と思い出し,読んだ.
 他の同系統の本と比較して特徴的と感じたのは,情報の入出力について「とにかく量を増やせ」というメッセージと,それを可能にするスキルとテクノロジーの提示に力点が置かれているということ.いわゆる"Hack"系の本の中でも,「フォトリーディング」「親指シフト」「書籍代は1ヶ月15万円」等々のノウハウ提示は,あたしが知らんだけか,めずらしく思えた.
 これに加えて,禁酒・禁煙や炭水化物断ち,有酸素運動などの頭と体にいい生活の推奨でかぶせてこられる.もっとも,その本をあたしは飲みながら,たばこを吸いながら読んでいて,全くもって不真面目な態度だなぁ,とこれじゃまるで人ごとだ.
 著者の提唱する方法の全てが万人向けとは思わない.結局,それなりの経済力が実行には必要だと思うし,著者本人は謙遜で「わたしも意志が弱い」などと書いてはいるが,相当にストイックな内容だから.ただし,情報の量的拡大のすすめについては,得心がいった.著者の言うところの裏を返せば,情報への投資から得られる利益もそれほど高くはない.特に本の購入法から,その事実が見える.だが,結局読まない本でも,手元に置いておかなければ一生読む機会もないだろう,という含意の示唆は「なるほどね」と思った次第.
 余談だが,p.174で情報を視覚だけでなく他の感覚とも連携して取り込むという意味で「共感覚」ということばが割り当てられていたが,共感覚の通常の語義とは違うような気が….