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M脇書店O広店を叱る(disるか?)

 このM書店は,あたしのよく行く本屋トップ3の2番手である.3番手の館内最大規模の書店ができるまでは,ここがアイテム数首位だったように思う.
 地方小都市の大型店にしては,それなりに専門書の点数が多いのと,在庫検索端末があって,いちいち店員に訊かずとも目当ての本があるかどうか調べることができるので,最も行くOグループのT書店(カルチュア・コンビニエンス・クラブ系)ではどうも取り扱いそうにない本,あるいは新書新刊を手に入れたいときはこのM書店にしている.
 余談だが,T書店はコミックスと雑誌がおそらくは主力で,次いでビジネス書,文庫・新書,文芸書というような感じだろうか.文庫・新書のストック数が少なく,同ジャンルの新刊の入荷タイミングが遅い.平積みになっている新書レーベルが幻冬舎だったり新潮だったりで,これまた,あたしの好みではない点でやや不満である.新書といえば,書店買い切りのためストックを躊躇するかもしれない岩波はともかく,中公・講談社現代・ちくまをベースに,次に光文社・新潮・幻冬舎などの時事ネタ・時の人によるざっくりしたテイストのレーベルを置くのが正統じゃねぇの,と個人的に思っているからである(これに平凡社ほぼ全点在庫だと完璧に近い).というわけで,私的購買頻度第1位のこの書店では,Oグループ共通のポイントカード制度を利用してもっぱら欲しい本をネット経由で注文しては買う,という利用の仕方になっている.棚のつくりで,以前あたしが注文したダメットの『分析哲学の起源』がなぜかその後並べられていたり(どう考えても,この店の客層に勁草書房を手にする人は少ない)大学受験参考書は取り扱っていないのになぜか改訂版の山川出版社『詳説日本史研究』が平積みにされているなど,やや不可解なディスプレイの仕方もしているが,スタッフさんたちの仕事ぶりも丁寧で,「割り切ったお付き合い」としてはいい店だと思う.
 それはさておき,M書店である.
 この書店,以前から物量主義でスタッフにそれほど商品知識はないようにうすうす感じてはいた.大澤真幸の『行為の代数学』が数学書に並べられていたり(あながち間違いでもないとは思うが,やっぱり社会学だろう),隣接する「哲学・思想」のほぼ一段がこぶし書房feat.黒田寛一だったり.後者は,ジャンルセレクトに間違いはないにしても,もっと置くべきものがあるだろう,という印象だ.黒田寛一はあるのに東浩紀はない(別に東ファンではないが),そういう悲しい状況である.
 で,本日は西原理恵子の新刊『この世でいちばん大事な「カネ」の話』があるだろうと出かけたのである.この店の他店にはないウリは,地方小都市の書店としてはめずらしく選書の棚があり(でも講談社のメチエは各ジャンルに分散展示(涙)),「よりみちパン!セ」レーベルもストックされているためだ.
 勝手知ったる行きつけの店,といわんばかりに選書のコーナーに赴く.「よりみちパン!セ」シリーズは杉作J太郎兄の『恋と股間』他1点が平積みになってるのに西原本がない.どう探しても,ない.
 仕方なく,検索端末に移る.結果は経済・経営系のコーナーに在庫ありとのこと.商品の位置がレシート状に印字されて出てくるのだが,それで位置を確認しようにもそこには棚が4つか5つあり,その棚全てに印がついている.ともかく経済・経営書のコーナーに移動.
 いわゆるビジネス書のブロックなのだが,新刊書を中心とした一角は,
┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐
 誰  勝  勝  勝  勝 
 ?  間  間  間  間 
└─┘└─┘└─┘└─┘└─┘
┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐
 勝  勝  勝  勝  金 
 間  間  間  間  鼠 
└─┘└─┘└─┘└─┘└─┘
┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐
 勝  茂  茂  勝  勝 
 間  木  木  間  間 
└─┘└─┘└─┘└─┘└─┘
という具合で平積み.著者名でなく書名でいくと,
|叶夢象 |○○倍〜|勉 強 |読 書 |○○倍〜|
|生き方 |勉 強 |勉 強 |生き方 |選択! |
|勉 強 |脳・勉強|脳・仕事|勉 強 |読書術 |
みたいな感じだ.
 やや,げんなりした気分になりながら,再度目を皿にして探す.棚の本,手前の平積み陳列を一周してもない.二周目に,件のコーナーの真ん中,おそらくは金融商品に関するジャンルを割りと寄せ集めてあるコーナーの平積みのところに,西原本はあった.3冊,背だけが見えるように立てて….
 フツーは,「よりみち〜」のコーナーに置くだろうに.よしんば,経済書に置いたとして,新刊のディスプレイを考えるなら,平積みにするもんだろうに.その場合でも,選書のコーナーと分けて配置するものではないだろうか.
 西原本を探している間に,社会学本が一般の時事ネタ本に複数紛れていているのを見つけ,あろうことか青土社本がこのビジネス書のコーナーに置いてあるのを発見して,「だからお前はダメなんだ!」と一体誰に言えばいいのか途方に暮れもした.ともかく,目当ての品が見つかってレジに持っていくと,販促品か何かの準備をしているけだるい雰囲気のお兄さんに「カバー,おつけしますか?」と尋ねられ,「いらん!」と怒気を込めて言いたいところを「いいです」と答え,精算する.この店,制服・スーツの正社員風が多い割りに,このお方たちは愛想が無く(というかつっけんどんなんだな)雑談が多い.バイトとおぼしき人の方が接客態度がいい.
 こうして,やり場のない怒りを抱え,西原本ほか1を携えて店を後にした.
 ぐだぐだ書いた割りにちっとも怒ってない感じになってしまったが,書店なら書店なりの心意気を示した,店づくりを切に願うところである.