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nonfiction:NHKスペシャル「ドキュメント 市町村大変革:第1回 特区をめぐる攻防〜国vs市町村・70日間の記録〜」(20041031放送)http://www.nhk.or.jp/special/

構造改革特区」申請する市町村は「できるまちだなぁ」と嘆息するばかり.ボキが自分の業務で「ここ,なんとか要件緩和してくださいよ」と言えるものは今のところ全然思い当たらないし,たぶん,職場の同僚・諸先輩も提案できないだろうと買いかぶってみる.
番組では,2つの事例を追跡していた.1つは埼玉県草加市の学校改築に伴う「教室の天井高引下げ特区」.現行の建築基準では,最低3.0メートルとなっているが,これを引き下げることで改築コストを削減するための申請.国土交通省は「建物は一旦造ってしまえばやり直しがきかない」文部科学省は「低い天井は子どもに圧迫感を与える」といった理由で抵抗する.
草加市の特区担当者は,文科省委託の教室空間に関する調査受託者(千葉大学工学部助教授だったか)に出向き,その調査結果を閲覧すると,(1)3.0メートル以下でも2.7メートル程度であれば,児童はじきに慣れること(2)世界的な天井高に関する調査結果でいくと,2.7メートルとする国が多い,ことが分かる.さらに,市内の学習塾の天井高についても調査を行うと,学校よりも数段天井が低くても,児童から「息苦しい」といった訴えはないとの結果を得る.塾に通う児童への緊急アンケートでもそのことが裏づけされる*1
こうした理屈付けから,内閣府構造改革特区推進室が省庁との直接交渉,さらに所管省庁の課長交渉へと進む.このあたりのやり取り,ヘタなドラマよりテンションの高まる演出・編集だった.結局のところ,特区としての採択には至らず,文科省の研究会で前倒し検討を行い全国的に対応する(曖昧な記憶だが)ということで落ち着いた模様.
この特区採択を巡るやり取りの最中,財政難からプール建設を見合わせる草加市の学校改築計画にPTAから異議申し立てがあがり「金が無いという理由だけで造らないというのはいかがなものか」「プール学習のために危険な校外に子どもを出すのはよろしくない」といった不満が市職員にぶつけられていた.しかし,どうなんですかね?そんなに街は危険がいっぱいですか?だったら,街の危険度を下げる取り組みを「官民協働」(wでやればいいのでは?そんなにプールばっかり市内にあってもしょうがないのでは?
もう一つの特区申請の事例は,徳島県上勝町の「洗濯の有償ボランティア特区」.高齢化率のきわめて高い*2町で,町内にはクリーニング業者がない.このため,洗濯のできない高齢者は,誰かにその仕事をお願いすることになるのだが,この地域では「手間替え」という互酬制に根ざした風習があり,無償ボランティアによる洗濯サービスでは利用者がつかない.「何かしてもらったらお返しをする」ことが主たる利用者の高齢者には困難だからだ.そこで上述の特区申請が提出された次第.厚生労働省所管の「クリーニング業法」の規制緩和を求めたのだった.業としてクリーニングを営む者の保護が件の法の立法趣旨のようだが,有償ボランティアによる行為は営業に当たらないとする解釈をmhlwが行い,結果として採択されたケースだった.
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冒頭にも述べたとおり,こういった特区申請ができるためには,それぞれの業務に関連する法令・通知等の存在を知っていることが第一だろう.また,行政運営上の問題の拾い上げる力,課題を適確に法令等に突合させる力が必要となるだろう.
ボキは採用1年目,介護保険(準備)係というトコにいたので,日常業務が全く,3ヶ月くらい介護保険法はもとより老人福祉関係法令を端から読みまくり*3図書館で老人福祉関係文献を借りまくっては読み倒し,手近で読める文献等がなくなったので最後に町の例規集・財務規則を読んでいた時期があった.そんなあたしに,先輩らは「条例読んでるヤツ,初めて見た」などとお声をかけてくれた記憶がある.そういう寒 い 状 況が7年前にあり,それは今も変わらない.むしろ,悪化している.
「住民参加のまちづくり」「協働の理念に基づく…」「受益者負担」「コスト意識」等々素敵なスローガン・理念が職員により口にされることがあっても,それを法的に積み上げていくことはこれまであまり目にしてこなかった.なにしろ,自分の仕事だって0だ*4.前にも書いているはずだが,わが職場を筆頭に相当数の市町村は,そういう意味で政策立案と法務能力が絶対的に不足していると思われる.
加えて,地域の持つ諸資源とそのコンステレーションが把握し切れていない,というのが少なくともわがまちの実情.業務の外部委託先として「NPOがふさわしい」と首長を筆頭に主張するが,基本財産を持つ適格団体があるのか/その事務局を担える人材はいるのか/キーパーソンは誰か…といろいろ考えてみると,結局のところ希望するアウトソーシング先はないのだ.
PFIやらなにやら,採用されて4年くらいは「地方自治土曜講座」に自 費で行って見聞を広げてきたが,それもやめた.「うちではできない」ことをただ学んできてもしょうがない,と思えたからだ.参加者に対し職員互助会で費用弁償がなされるようになってから,俄かにうちのまちからの受講が増えた.以前に「あちし,金が無いんで,なんか参加費を補助する仕組み,つくってくれないですか?」と要望したときには「お前が『趣味』で行っているものになんで金つけなきゃならんのよ」と一刀両断した方々なんですよね,ニューカマーの一部は.
ぐだぐだ支離滅裂な文章を書き飛ばしてしまった.文句ばっかり言っててもしょうがない,ことは分かってるんだけどなぁ….

*1:学校と塾とでは集まる児童の層や指導内容等が違うような気もするが.行政的にはこういう理屈付けで充分なのは分かる.

*2:http://www.kamikatsu.jp/gaiyo/fukushi.HTM参照.人口約2,300人で4割が65歳以上!

*3:記憶として定着してないが(爆)

*4:義務的な業務ばかりだし,という言い訳はできるけど.