購入本/学ぶ組織への内在的変革

 こないだから「研修」ということをいろいろ考えていたので,次の新刊をつい購入.

吉田新一郎『「学び」で組織は成長する』光文社新書

 ぱらぱらと読んだ限りでは,グループでできる自主的な学習法のレシピ集の趣き.
 意欲や高い意識を持った個人がバラバラでは,組織は何も変化を生まないことを最近痛感していたので,きっかけづくりのヒントになりうる本だと思う.中身については,まだ十分に吟味していないのでこれから.
 「プロたちのプロたちによるプロの職場」とでも言うべき,緊張感と達成感のある職場を内在的に作り上げるためには,ひとりだけ先鋭化して「お勉強」してもあまり効果がない.とはいえ,プロの育成を使用者サイドに求めているだけでは,環境づくりは進まない.
 かつては,辺境に行けば行くほど,マルクス主義マルクスの経済思想を基盤とした学習グループとしての機能が,労働組合にはあったのだろう.しかし,今やその組織に属する人々は,イデオロギーを身に付けて特定の視点・切り口からの批評なり交渉なりは出来ても,イデオロギーを他者に影響させるための戦略の検討を怠り,どんどん少数勢力へと自らを追いやっている.さらにいえば,自分の思想がイデオロギーに墜しているのではないか,という懐疑の視点も欠落している.うすうすは,自分たちの頼りにしてきた考えが,現今の職場状況を変えうる思考たり得ないことには気付いているのだろうけど.
 どうやって,彼ら/彼女らの思考を変えていくか,私は今,そういう援助技術が自分に求められていると勝手に思っている.