「黄金週間」の陽も暮れて

 個人的には,暦どおりの休暇ではあった.
 ただし,後半初日の5/3は書類整理のため,一日勤務.あとの予定としては,一日だけ消化しきっていない仕事をする「予定」だった.
 ところが,5/4の夕方,上司から携帯に電話が入る.「町内で断水」とのことだった.
 一昨年(だったか)もこの時期に断水が発生し出役した.なんでこう,大型連休にばかりトラブルが発生するものか….
 出勤して状況を聞くと,前の日の夜に取水場に落雷があり,電気系統がストップして給水が不安定な状況になったとのこと.それが一応,公式に末端社員に告げられた原因ではあった.しかし,ライフラインとしての水道が,たかが雷一発で供給不能になるものなのか?おそらくは,それ以外の要因が絡んでいるのだろうとは思う.
 出勤してきている社員は,連休中ということもあり,私が到着したときには10人程度.時間を追うごとに徐々に人が集まりだしてきたが,それでも給水活動等の人工換算でいけば足りない.会社では,休日にエリア外に出かけるときは「私事旅行届」を提出することになっているのだが,私のところの課長を含めほとんど出されてはいなかった.携帯電話で現在地を確認すると「札幌にいる」といった有様で,すぐに出社できる距離にはいない.
 また,陽気だったためか,屋外で酒を飲みながら焼肉をしていた社員も多く,出社してきても酩酊状態で車の運転はおろか,作業ができない状態の社員もいた.
 そういう少ない人数での給水体制なのに,社員の役割分担や情報・行動管理などが各課バラバラの状態で全く無惨な状況だった.私は,とりあえず出社している課内の社員と一緒に給水所に来られない人たちに水を配達する業務に当たった.地図を見ながら車を転がし,頭を下げて水を配りながら,ふと思ったのは「このメンバーでは戦争に負ける」ということだった.
 弊社の恥の上塗りになってしまうが,つい先頃,弊社では「防災計画」「災害時対応マニュアル」のたぐいを作ったばかり.今回の断水は自然災害ではないものの,対応としては一緒だろう.そのマニュアルには各課が班の形で編成され,それぞれ業務に当たることとなっているが,想定外の人員体制になったとき,今度は今いる人員で班を編制し直せばいいのにそれが全くできていなかった.
 そのうち,緊急時や非常時を「お祭り」と受け取って血気盛んになる下士官のような社員が,勝手に動き出す.体で動き出していくならまだいいが,ただただその場にいる下っ端の不安をあおる言動,憶測での物言いで「お祭り」状況を煽り出すものもいる.それが,管理職だったりすると本当に「バカは死ななきゃ生きてる」と落胆した.
 兵の配置,動かし方どころではないのだ.
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 翌5/5朝には,断水状態が一応回復し,5:30の出社はなくなった.
 これだけ自分の予定を崩されると,自分の仕事自体もなんだかどうでもよくなってしまった.
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 連休中は,線形代数の初歩的な本を通し読みしていた.
 n次の行列式あたりから頭がごちゃごちゃになる.2次,3次くらいでもやはり紙と鉛筆が必要….
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 休んだような気のしない連休.