どういう了簡でぃ!

さっきふらついた本屋で手に取ってみてぐったりしたが,『あらすじで読む古典落語の名作』ってなんだよ!?帰ってきてメールチェックしたら届いてた落語協会のメルマガでもプレゼント商品として載ってたが.
最近,大人ドリル系とかあらすじ系とかが結構行きつけ本屋の書棚を侵蝕していて,その割りを食う形で人文書及び社会科学書(ビジネス書除く)がどんどん縮小されてきててさびしい限りなのだが,言うに事欠いて落語のあらすじとは….「『品川心中』:心中もの,『時そば』:だまし,『お直し』:嫉妬,…」そんなこと分かったからってどうだっつーんだよ!
落とし咄ってのは筋さえ分かれば面白い,ってもんじゃないだろ.演者それぞれのくすぐりがあり,都々逸・川柳といった周辺の文芸,廓話なら吉原あるいは品川・板橋・新宿といった色街の風俗描写とかがあって初めて成立するもんじゃないの?むしろ,筋だけ知ってても全然面白くない咄だって相当あるよ.
不景気のせいか,あるいは斎藤孝センセのおかげか,インスタント・エッセンス本がやたらと出回ってるが「知っていることが教養の一部」になる世界とならない世界があるということを知るべきじゃないだろうか.落語は断然,筋を知っていることが教養にならない世界の話であり,むしろそんな知り方ならまるっきり知らない方がいいジャンルだと思う.