秋の夜長の読書

 テレビが改編期にあるせいか,つまらなくてどれもこれも観たいと思わない.そんなわけで,サントリーの角瓶の水割りを啜りつつ(やっぱニッカの方がうまいのだけれど…)こんな本を読んでいる.

井上章一夢と魅惑の全体主義』文春新書.

 建築のことは,全く不勉強なのでよく分からないし,まだ第2章までしか読んでいないので何とも言えないが,本業の建築史での井上章一の最新作.
 イタリアはなんだかんだ言っても第1次大戦では戦勝国だったから,漸進的にでも,ファシズムの精神を盛りこむ建築ができたということなのかと思う.ナチスは,本書で述べられるとおり,たしかに都市計画としてはイタリアの比ではない,大がかりなものを構想しているのだけれど,結局,第1次大戦の屈辱的敗北から「領土の膨張」という第三帝国路線を歩まざるを得なかった,ということなのだろうか.