読了:山形浩生『新教養としてのパソコン入門』

新教養としてのパソコン入門 (アスキー新書 020)

新教養としてのパソコン入門 (アスキー新書 020)

 もともと雑誌連載の再構成で,2002年に最初に単行本として刊行されている.ベースになった連載記事は,
http://cruel.org/asciipc/index.html
で読むことができる.
 各章が1回分の記事になっているから,区切りをつけて読みやすい.けれども,一気に読めてしまうのは,コンピュータ解説本といってもあまりに詳しく原理的なところから書き起こしていないからだと思う.加えて,いつもの著者の文体のなせる技でもある.
 あたし的には,日常パソコンを使っててぼんやりと思い浮かべていたような概念とか仕組みとかがきわめてすっきり分かった.何でもできそうでいて融通が利かない,でもある程度性格とかを分かってあげて手なずけるとそこそこ役に立ちますよ,という人間くさいコンピュータ理解の思想もあたし的にはすんなり受け入れられた.
 些末なことだけど指摘.
 まず,ページ番号(ノンブル)がページ下部中央からやや内側についていて,使いにくい.アスキー新書は初めて買ったので,このシリーズはすべてこうなっているのかどうか確認していないのだけれども.
 もう一つ.p.142の著者注で「第一次世界大戦の発端になったのは『プロセイン』の皇太子がバルカン半島で暗殺されたため」となっているが,フランツ・フェルディナントはオーストリア皇太子で,かつ,「プロセイン」と言うなら「プロイセン」かと.あたしは,思わずボディービルダーを想起してしまった(←貧困な想像力).